自動車サイバーセキュリティに対する中国独自の動き、GB・GB/Tについて解説
2024年7月4日地球温暖化問題が提言された頃は他人事だと思っていた環境問題ですが、昨今はSDGs活動に代表するように、企業を筆頭に環境問題をより身近に感じ、実践していかなければならないようになってきました。自動車業界に目を向けると、ここ数年のホットワードは電気自動車、通称BEV(正式名称は、Battery Electric Vehicle)になっています。欧州メーカーのボルボは2030年までに販売車両をBEVのみにする方針としています。一方、メルセデスベンツも同様の方針としていましたが、2024年に2030年目標だったBEV一本化を2050年へ延長しています。 BEV切り替えに世界がついていけないとなっている反面、中国ではBEVが人気を博し、中国自動車メーカーが各国へ売り込みを実施しています。中国ではBEVなどの環境に配慮した車でないと、ナンバープレートを取得できないことや、都心部への入場が規制される場合があるなど、自動車に関する包括的な標準・規制を発行して「BEVシフト」を進めています。したがって、自動車メーカーにおいて自動車に関する標準は販売に直結する重要なポイントだと言えます。この中でも、サイバーセキュリティに関する標準も含まれており、中国もSDVやCASEの実現に向けた独自の動きを見せています。この標準はGB、GB/Tといわれ、中国でBEVの普及を牽引しています。今回の記事では、中国国家標準の”中国GB,GB/T”にフォーカスを当てて詳しく説明します。 中国GB,GB/Tとは GBとは”Guo jia Biao zhun”の略称です。日本語では、”強制性国家標準”という名称です。この国家標準は、人々の健康や生命・財産の安全や国家安全などの需要を満たすことを目的として定められ、対象製品・サービスに対して強制的に適用されます。準拠しなければ販売できず、一度認定されても改定後の規格を満たしていない場合は認定を取り消される程、最も強制力のあるものです。またGBよりは強制力の弱い、”推奨”という位置づけのGB/Tという標準があります。日本語では、”推奨性国家標準”という名称です。その名の通り、準拠(適合)することが推奨されている規格で、ガイドライン的な位置づけになっています。日本で身近なものだと、JIS(Japanese Industrial Standards:日本産業規格)に相当します。 ICV:インテリジェント・コネクテッド・ビークル 中国GB,GB/Tの自動車セキュリティ規格の特徴 まず、中国GB,GB/Tに該当する自動車セキュリティ規格を紹介します。 標準番号 名称(和訳) 発行日 GB/T 40856-2021 車載情報交換システム情報セキュリティ技術要件及び試験方法 2021年10月 GB/T 40861-2021 自動車情報セキュリティ汎用技術予見 […]
アウトクリプト、自動運転OSの国際業界団体「The Autoware Foundation」に加盟
2024年6月27日次世代のモビリティ社会の実現に向けた自動運転セキュリティ及びMaaSソリューションを手掛けるアウトクリプト株式会社(AUTOCRYPT Co., Ltd.、https://www.autocrypt.jp、本社:韓国ソウル、代表取締役 金・義錫、以下アウトクリプト)は自動運転のオープンソースソフトウェアプロジェクト「Autoware」を主催する国際業界団体「The Autoware Foundation」(オートウェアファウンデーション、所在地:東京都品川区、代表理事:加藤真平、以下「AWF」)に加盟したことをお知らせします。 AWFは自動運転技術の開発と標準化を目指すオープンソースソフトウェア「Autoware」プロジェクトを支援する非営利団体で、AutoCryptはINDUSTRY&GOVERNMENTメンバーとしてAWFに参画します。 アウトクリプトは自動車サイバーセキュリティ分野における専門性を有しており、車載システム向けセキュリティソリューション「AutoCrypt IVS」、 自動車及び交通インフラのためのセキュリティ通信ソリューション「AutoCrypt V2X」を提供し、WP29およびISO/SAE 21434などの最新規格対応を支援してきました。アウトクリプトは自動車サイバーセキュリティにおける経験と知識を活かし、OSSの分析、ライセンス違反や脆弱性を検知することでAWFに参加しているパートナーと共にAutoware開発および安全性の向上に貢献するとともに、 参画企業との共同研究およびプロジェクトを推進し、日本およびグローバル活動を促進していく見込みです。AUTOSAR ClassicとAdaptiveについて|車載ソフトウェアの未来
2024年6月26日現代の自動車は高度な技術を搭載した「走るコンピューター」へと進化しており、この進化を支えるのが車載ソフトウェアです。エンジンやブレーキの制御から、自動運転技術やインフォテインメントシステムまで、車両の多くの機能はソフトウェアによって管理されています。こうした複雑なソフトウェアシステムの標準化を推進するために、AUTOSAR(Automotive Open System Architecture)は2003年に発足しました。AUTOSARの目的は、異なるメーカー間での互換性を確保し、開発効率を向上させることにあります。KPMGのレポート(2023年)によると、世界の自動車メーカーの80%以上がAUTOSARを採用しています。AUTOSARには、ClassicとAdaptiveの2種類があります。本記事では、AUTOSAR ClassicとAdaptiveの特徴と選び方について解説します。 サイバーセキュリティに関する国際規格の要件を満たしながらも、効率的にAutosarを適用することは簡単ではありません。弊社はAdaptiveに適用可能なセキュリティソリューションをしています。Autosar Adaptive向けのセキュリティソリューションの詳細はリンクからご覧いただけます。 AUTOSAR Classicとは AUTOSAR Classicは、自動車業界で幅広く採用されている車載ソフトウェア開発の標準規格です。この規格は、ソフトウェアの再利用性、移植性、保守性を高めることを目的としており、自動車の電子制御ユニット(ECU)に搭載されるソフトウェアの開発を効率化します。 主な特徴 AUTOSAR Classicの特徴は以下の4つです。 ①階層化されたソフトウェアアーキテクチャ アプリケーション層、ランタイム環境(RTE)、ベーシックソフトウェア(BSW)の3つの層で構成され、明確な役割分担とインターフェース定義によってソフトウェアのモジュール化を促進します。 ②標準化されたインターフェース ソフトウェアコンポーネント間の通信や、ハードウェアへのアクセスを標準化することで、異なるサプライヤーやプロジェクト間でのソフトウェアの再利用を容易にします。 ③ハードウェア抽象化 仮想ファンクションバス(VFB)と呼ばれるメカニズムにより、ソフトウェアを特定のハードウェアに依存しない形で開発できます。 ④豊富なベーシックソフトウェア OS、通信スタック、メモリ管理、診断機能など、車載ソフトウェアに必要な基本的な機能を提供します。 利用例 AUTOSAR Classicの利用例は多岐にわたります。エンジン制御では、エンジンの動作を最適化することで燃費向上や排出ガス削減を実現しています。ブレーキ制御では、ABSやESPなどの安全機能を実装し、車両の安定性と安全性を確保しています。また、ボディ制御では、ドアやウィンドウの制御、照明の管理などを行い、車両の快適性を高めています。 […]アウトクリプト、アジア・パシフィック地域で初めて自動車サイバーセキュリティのテクニカルサービス機関の資格を獲得
2024年6月25日次世代のモビリティ社会の実現に向けた自動運転セキュリティ及びMaaSソリューションを手掛けるアウトクリプト株式会社(AUTOCRYPT Co., Ltd.、https://www.autocrypt.jp、本社:韓国ソウル、代表取締役 金・義錫、以下アウトクリプト)はEU向け自動車型式認証および登録を担当するオランダの道路交通局(Rijksdienst voor het Wegverkeer、以下RDW )からアジア・パシフィック地域で初めて「自動車サイバーセキュリティ認証のテクニカルサービス機関」の資格を獲得したことをお知らせします。 ソフトウェア定義型自動車(ソフトウェア・ディファインド・ビークル)やコネクテッドカーをはじめとする自動車関連の技術の高度化につれ、サイバーセキュリティ対策の重要性が高まっています。EUでは、2024年7月から生産される新型車両に対して型式認証にサイバーセキュリティに関する要件(UN-R155、UN-R156)の実装が義務付けられ、2026年からは既存の車両にも同規則への適合が求められています。これにより、自動車メーカーや関連企業はサイバーセキュリティの重要性を再認識し、適切な対策を講じる必要があります。 このたび、アウトクリプトはオランダの道路交通局(RDW)から「自動車サイバーセキュリティ認証のテクニカルサービス機関」の資格を獲得しました。アジア・パシフィック地域で自動車サイバーセキュリティ企業の中では初めてテクニカルサービス機関に指定されました。この資格取得により、アウトクリプトは「国連の車両等の型式認定相互承認協定」に加盟している日本を含む68箇国に対してサイバーセキュリティの構築から型式認証サポートまで、一貫したサービスを提供できる企業となりました。また、アウトクリプトは効率的な型式認証向けテクニカルサービスを提供するために、来る7月にセキュリティテストセンターを開所し、初期審査から定期的な適合性確認までサポートする「AutoCrypt TS」を提供する予定です。 アウトクリプト代表取締役社長の金は次のように述べています。「自動車産業を取り巻くサイバーセキュリティリスクは深刻化しており、サイバーセキュリティは必要不可欠なものとしてその重要性がますます高まっています。弊社が自動車サイバーセキュリティ認証のテクニカルサービスを提供する機関としての資格を取得しただけに日本の自動車メーカーのEUへの進出を積極的にサポートしていきたいと考えています」