アウトクリプトとアンリツが、CES 2025にて5Gの自動車セキュリティテストの推進で基本合意を締結
2025年1月9日アウトクリプト株式会社(アウトクリプト Co., Ltd.、本社:韓国ソウル、代表取締役 金德洙、以下アウトクリプト)とアンリツ株式会社(本社:神奈川県厚木市、社長 濱田 宏一)は、2025年1月8日、米国ラスベガスで開催されている「CES 2025」において、5Gシミュレーションによる自動車セキュリティテストに関する基本合意書(MoU)を締結しました。本基本合意に基づき、両社は車両向けサイバーセキュリティテスト手法の進化に向けて取り組んでまいります。 2024年CLEPAイノベーションアワードで受賞歴のあるアウトクリプトのサイバーセキュリティテストプラットフォーム(CSTP)と、5Gネットワーク環境をシミュレートするアンリツのラジオコミュニケーションテストステーション MT8000Aを統合することで、サイバーセキュリティテストの効率化と簡素化を実現します。両社のパートナーシップにより、進化を続ける車両システムに対して強固な安全性を提供できるようになります。 アウトクリプトのグローバル最高技術責任者である金義錫氏は次のように述べています。「アウトクリプトがこれまで培ってきたサイバーセキュリティの専門知識と、アンリツのネットワークシミュレーション技術を組み合わせることで、5G時代における新たな基準の確立を目指します。サイバーセキュリティテストは複雑で煩雑になりやすく、型式認証の課題となる場合が多くなります。しかし、アウトクリプト のCSTPを活用することで、自動車メーカーはカスタマイズされた効率的なテストプラットフォームにアクセスできます。アウトクリプトは、アンリツとのパートナーシップを通じて、自動車メーカーやサプライヤーが直面しているコンプライアンス遵守の課題と安全性の確保を効率的に解決できるように支援してまいります。」 アンリツのIoTテストソリューション事業部長である小川幸治は、次のように述べています。「車両の安全性に対する関心が高まる中、サイバーセキュリティテストの重要性はかつてないほど高まっています。このたび、セルラーネットワークシミュレーターを通じて、テストシステムに必要なツールを提供できることを大変嬉しく思います。アウトクリプトとのパートナーシップには大きな期待を寄せており、CES 2025において、この基本合意を締結することで、両社がより安全な未来の実現に取り組む姿勢を明確に示すことができると確信しています。」 この基本合意は、世界中の政府や規制機関が自動運転車両(CAV)のサイバーセキュリティ基準を強化している重要な時期に締結されました。UNECEのWP.29 UN R155、156、インドのAIS-189、中国のGB/T基準などサイバーセキュリティ基準の枠組みにより、自動車メーカーやサプライヤーは、基準に適合していることを証明するための圧力に直面しています。アウトクリプトとアンリツの連携により、車両通信システムを超えたさまざまなアプリケーションに対する包括的なセキュリティテストが可能になります。この協業は、現代のコネクテッドモビリティの多様なセキュリティ要件に対応し、規制要件を満たす効率的なソリューションを業界に提供するとともに、幅広い技術分野における強靭性の向上にも貢献します。 ■アンリツ株式会社について アンリツは1895年の創業以来、進化を続ける情報通信の分野で、各種通信システムの開発・品質保証に欠かせない計測器を開発、製造、販売してきました。また、食品・医薬品用異物検出機や重量選別機、遠隔監視制御システム、通信用デバイスなど、オリジナル&ハイレベルな製品を提供しています。幅広い分野で、安全・安心で快適な社会づくりを支えています。
アウトクリプト、CES2025に出展 最先端のSDV向けセキュリティ技術とテスティングツールを展示
2024年12月26日アウトクリプト株式会社(AUTOCRYPT Co., Ltd.、本社:韓国ソウル、代表取締役 金 德洙/以下アウトクリプト)は、2025年1月7日から1月10日までアメリカ・ラスベガスで開催される世界最大の技術展示会「CES2025」に出展することをお知らせいたします。今回のCES 2025で、欧州自動車部品工業会(CLEPA)が主催するイノベーションアワードにおいて「トップイノベーター」に選ばれ、国際的に高評価を受けている車両セキュリティに関するテスティングツール「AutoCrypt CSTP」と革新的なSDV向けソリューションを紹介いたします。 現在、ソフトウェアによって定義される自動車(SDV)の普及とともに、車両のサイバーセキュリティは業界全体において急速に注目されています。特に国際規制の導入により、自動車OEMやサプライヤーは一定水準以上のセキュリティを構築することが求められています。アウトクリプトは、これらの課題に対応するため、車載システム向けセキュリティソリューション「AutoCrypt IVS」、暗号化と認証によるセキュアなV2X通信を実現するソリューション「AutoCrypt V2X」と自動車開発の評価フェーズで脆弱性を早期発見・対応することで安全な車載システムの開発をサポートするテスティングツール「AutoCrypt CSTP」を展示する予定です。車載セキュリティ構築、コンプライアンス遵守などの課題を抱えている企業さまは、是非当社ブースにお立ち寄りください。 「展示会概要」 名称 :CES 2025 開催日時 :2025年1月7日(火)~10日(金) 主催 :Consumer Technology Association 会場 :Las Vegas Convention […]UN-R155準拠のためのファズテスト、その重要性と導入課題について
2024年11月18日コネクテッドカーや自動運転技術の進化に伴い、複雑な自動車システムをサイバー脅威から守ることが不可欠となっています。こうした業界の変化に応じて、国連欧州経済委員会(UNECE)はサイバーセキュリティ対策を義務付ける規制(UN-R155)を制定しており、各国の自動車メーカーはこれに対応するための取り組みを進めています。 サイバーセキュリティ基準が高まる中、ファズテストは、メーカーがこれらの要求に応えるための強力なツールとして注目されています。しかし、従来のファズテスト手法は労力を要し、現代の車両における複雑なソフトウェア構造に十分対応しきれないという課題がありました。幸いなことに、近年のサイバーセキュリティテスト技術は進化しており、スマートで自動化されたファジングなどの高度な技術により、サイバーセキュリティテストがより効率的かつ効果的になっています。これにより、開発期間の短縮、システムの強化、車両全体の安全性向上が実現され、規制への準拠も可能になっています。本記事では、スマートな自動車向けファズテスト技術について詳しく解説します。 AutoCrypt Security Fuzzerは、HILシミュレーション環境でのファジングテストを可能にし、開発初期段階から車載ソフトウェアの安全性を確保します。より詳しい情報が必要な方はこちらをご覧ください。 自動車サイバーセキュリティとUN-R155の概要 UN-R155は、車両のライフサイクル全体を通じてサイバー攻撃から車両を保護するための包括的な規制です。確立されたサイバーセキュリティマネジメントシステム(CSMS)の構築が求められ、自動車メーカーはリスクを体系的に評価し、軽減する必要があります。この規制の要件は、ISO/SAE 21434規格と一致しており、自動車サイバーセキュリティエンジニアリングの枠組みを設定しています。リスク管理、継続的な監視および更新プロセスに重点を置くことで、設計から廃棄に至るまで、車両サプライチェーン全体のセキュリティを確保します。 UN-R155におけるファズテストの重要性 サイバーセキュリティの準拠を確保するための重要な要素の1つが、徹底的かつ効果的なテストです。ファズテスト(Fuzz Testing)またはファジングは、ソフトウェアシステムの脆弱性を特定するための強力なテスト方法です。これは、ソフトウェアインターフェースに予期しないデータやランダムなデータを供給し、その挙動を観察することで、バグや攻撃者に悪用される可能性のあるセキュリティの欠陥を発見します。 UN-R155において、ファズテストは特にソフトウェア定義型自動車における弱点を特定するために不可欠です。自動車システムは、通信ネットワーク、インフォテインメントインターフェース、先進運転支援システム(ADAS)に至るまで、サイバー脅威の潜在的なターゲットとなり得ます。ファズテストは、これらの脆弱性が悪用される前に予防的に発見するアプローチを提供し、準拠において重要な役割を果たします。 ファズテストとは ファズテスト(Fuzz Testing) は、プログラムに対してランダムまたは予期しないデータを送信することで、潜んでいるバグや脆弱性を発見するための効果的なサイバーセキュリティ手法です。しかし、従来のファズテスト手法では、現代の車両における複雑なソフトウェア構造や多様なプロトコルに完全に対応することが難しいという課題がありました。この課題を解決するために、スマートファジング技術が登場しました。スマートファジングは、データに基づいたアプローチを採用し、よりターゲットに特化したテスト入力を生成します。また、複数のアルゴリズムによって生成されたテストケースを組み合わせることで、テスト範囲を拡大しつつ、時間とコストの効率化を実現しています。 スマートファジングツールは、テストの反復実施によるフィードバックデータを活用し、システム内でリスクの高い部分に重点的に対応するように設計されています。たとえば、AutoCrypt Security Fuzzer は、論理的なテストケースモデルを活用し、テスト対象となるシステムのプロトコルや仕様に基づいた最適なファズデータを生成します。また、自動ECU状態復元機能を備えており、テスト中に発生したシステムクラッシュから手動操作なしでシステムを復元することで、連続的かつ安定したファズテストを実現します。 このようなスマートファジングツールの導入により、開発期間の短縮やシステムの強化、車両全体の安全性向上が期待できます。さらに、UN R155やISO/SAE […]V2Xにおける正確な位置情報の重要性、SAE J2945/7について
2024年10月30日V2X(Vehicle-to-Everything)通信は、自動運転車が周囲の車両やインフラとリアルタイムでデータを交換するための基盤です。この通信において、車線レベルでの正確な位置情報が不可欠です。特に、交差点や複雑な交通環境でのスムーズな運転や衝突回避には、位置情報の精度が重要な役割を果たします。 V2X(Vehicle-to-Everything)技術を活用した様々なサービスの中でも、車両の位置を把握する「V2Xポジショニング」は特に重要な技術です。これは、車両の正確な位置を把握することが多くのサービスの前提条件であり、位置情報がなければ位置基盤サービスが成り立たないためです。 V2Xポジショニングは、基本的にGNSS(全地球測位システム)を基盤にしています。しかし、GNSSによる位置測定には限界があり、完全に正確な位置情報を提供することは難しく、必ず一定の誤差が発生します。そのため、現在のGNSS受信機は「信頼度58%の範囲で約1.5メートルの誤差」といった形で精度が表記されます。つまり、42%のケースでは誤差が1.5メートルを超える可能性があるということです。このような誤差は、正確さが求められるリアルタイムシステムでは大きな問題となります。さらに、この測定精度は固定された基準点での複数回の測定を前提とするため、GNSSの性能が影響を与えやすいです。しかし、走行中の車両にとっては、リアルタイムで変動する精度が不可欠であり、より高いレベルの正確さが必要です。したがって、現行のGNSS方式とは異なる、リアルタイムに対応した新しい位置情報システムが求められています。 使用されているシステムと課題 米国自動車技術者協会(SAE:Society of Automotive Engineers)がまとめた「SAE J2945/7」文書には、「V2X精密ポジショニング」に関する内容が記載されています。V2Xの精密ポジショニングとは、車線レベルのポジショニングを意味します。車両のポジショニングの精度は、大きく「メートルレベルの精度」と「車線レベルの精度」に分類されます。V2X通信ではGNSS(全地球測位システム)が一般的に使用されていますが、GNSSは都市部での電波干渉や多重反射による誤差が数メートル単位で発生するという課題があります。また、DSRC(専用短距離通信)やC-V2X(セルラーV2X)技術を用いて車両間の情報交換を行っていますが、これだけでは車線レベルの高精度ポジショニングを実現するのは難しいです。 適用例と必要な精度 ・メートルレベルの精度: GNSS(全地球測位システム)の精度に相当するもので、メートル単位での位置情報のことを指します。盗難車の追跡や回収など、高い精度を必要としない用途に適しています。盗難車の位置を大まかに特定できれば十分なため、車線レベルの精度までは不要 ・車線レベルの精度: 道路上で車両がどの車線にいるかまで正確に特定できる精度を指します。前方の車両を認識し、GPS位置情報を用いて衝突回避の警告を送信するアプリケーションでは、車線単位の正確な位置情報が不可欠 このように、V2Xの車線レベルの精密ポジショニングは、より高度な安全運転支援システムや自動運転において、重要な役割を果たすと考えられます。 SAE J2945/7標準の役割 SAE J2945/7は、V2X通信のための高精度ポジショニングを標準化するための規格です。この標準の主な目的は、車線レベルの位置精度を確保し、車両間通信の安全性と効率を向上させることです。特に、車両の方向を表す「方位角(heading)」と「進行角(course)」の区別を明確にすることが求められ、これにより車両の進行方向が正確に伝えられます。 さらに、SAE J2945/7はリアルタイムで位置情報の品質を監視するガイドラインを提供しており、異常な位置情報が発生した場合に即時に検出・対応できる仕組みを推奨しています。この標準の適用により、より信頼性の高いポジショニングが可能となり、都市環境や高密度交通にも対応できるようになります。 SAE J2945/7のV2Xポジショニングに関する解説 SAE […]