セキュリティ検証

2025年12月16日

ISO/TS 5083とは?自動運転の安全性を証明する「包括的なフレームワーク」

レベル3以上の自動運転システム(ADS)の実用化が加速する中、日本の自動車業界にとって最大の課題は「いかにしてシステムの安全性を証明するか」という点にありました。これまでガイドライン的な位置付けであったISO/TR 4804はすでにISO/TS 5083に置き換えられ、ガイドラインからより具体的な技術仕様へと進化しました。こうした状況下で登場した ISO/TS 5083 (Road vehicles — Safety for automated driving systems) は自動車業界に明確な解を提示しています。この規格は単なるテスト項目のリストではありません。自動運転システム(ADS)の設計、検証、妥当性確認(V&V)の全工程を網羅する最上位の技術仕様書であり、自動運転車が公道を走行するために不可欠な「安全性への説明責任(Accountability)」を体系化した文書です。本記事では、ISO/TS 5083が既存のISO 26262やISO 21448とどのような関係にあり、開発現場において何を準備すべきかについて解説します。   ISO/TS 5083の全体像:安全ライフサイクルと規格構成 ISO/TS 5083規格は、設計(Design)・検証(Verification)・妥当性確認(Validation)の各プロセスをV字モデルとして体系化しており、自動運転システム(ADS)開発における一連の安全活動を包括しています。ISO/TS 5083に基づくと、自動運転システム(ADS)の安全開発は以下のようなフローで進行します。 コンセプト・要件定義段階 すべての起点はODD(運行設計領域)の定義です。「どこで・どのような条件で走るか」を明確にします。これと並行して、RAC(リスク受容基準)を設定し、「どの程度のリスクまでなら許容されるか」という定量的なゴールを策定します。 開発・設計段階 […]
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