自動運転

2023年7月31日

「自動運転時代」が到来!運転時に免許証が不必要になる?

自動運転技術が普及している現状、車に搭載されたコンピューターが運転手の代わりに自動で運転操作してくれる未来が少しずつ近づいています。自動運転は、移動時の利便性の向上や車両交通事故の減少など、様々なメリットが期待されています。自動運転技術が急速に進む中、人が運転操作を行わない関係上、免許証が不必要になるのでは?とお考えの方も多いのではないでしょうか。この記事では、自動運転レベルの特徴や免許証が不必要になる自動運転技術について解説します。   自動運転時代が着々と進んでいる 車をカーライフの一部として現在も使用している方が多いでしょう。自動車業界でよく耳にする「自動運転技術」は現在販売されている各メーカーの自動車にも多数搭載されています。具体例としては、衝突被害軽減ブレーキや先行車との距離を一定に保ち走行する「ACC(アダプティブクルーズコントロール)」「LKAS(車線逸脱防止システム)」などが挙げられます。自動運転という言葉を聞くと、ハンドル操作を全自動で操作してくれる技術と勘違いされる方が多いですが、私達のカーライフの中で着実に進歩している技術に変わりありません。   「自動運転レベル」により免許証の必要条件が異なる 自動運転技術が目指す未来は「人が運転操作に関与しない完全自動化の運転システム」です。自動運転技術の進歩により、免許証の必要条件が変更される予定がありますが、自動運転レベルにより免許の有無が異なります。各自動運転レベルごとの特徴を以下の表でまとめました。   【自動運転レベル】 【自動運転レベルごとの特徴】 自動運転レベル1 運転支援システムによる車両制御を実施可能 自動運転レベル2 特定条件下において自動制御可能 自動運転レベル3 条件付自動運転可能 自動運転レベル4 特定条件下において完全自動運転 自動運転レベル5 完全自動化   免許証の有無については、大きく分けて以下2点です。 ・自動運転レベル1〜3までは免許証が必要 ・自動運転レベル4〜5までは免許証が不必要になる予定 自動運転レベル1〜3までの技術レベルでは、運転手の操作が必要なため「免許証の携帯」が必須になります。一方、自動運転レベル4以降では自動車の操作関係をシステムが全て代行するため、免許証は不必要になる予定です。自動運転レベル1〜2は「完全自動運転」ではありません。あくまで運転操作を支援する技術を搭載したレベルです。具体例としては、ハンドル操作や加速性能を支援する技術であり、ACC(アダプティブクルーズコントロール)やLKAS(車線逸脱防止システム)などが該当します。 自動運転レベル3は、運転操作を自動運転システムが行い、運転中の緊急時やシステム不具合時に運転手が操作するレベルです。自動運転レベル3は「高速道路などの特定走行場所のみ」で使用が許可されています。一般道や公道での走行は許可されていませんでしたが、2020年4月以降、一定条件下での自動運転車の走行が許可されました。道路交通法改正以降、自動運転レベル3に対応している車種は「アウディA8」のみとなっています。法改正や整備が進んでいる中、自動運転レベル3が国内自動車メーカーに普及するには、早くとも、もう3年以上の時間が必要になるでしょう。 […]
2023年7月17日

自動運転とEVの関係とは?エンジン自動車との違いも解説

自動運転のニーズが高まっており、2023年4月1日には「自動運転レベル4」が解禁されました。自動運転は、交通事故の減少・環境への負荷の軽減・移動の利便性向上など、多くのメリットが期待されています。自動運転とEVは互いに相乗効果を生み出すため、自動運転車はEVの普及をさらに促進する可能性があります。それゆえ、自動運転車が普及するためには、EVへのシフトが不可欠です。一方、エンジン自動車は環境への負荷が大きいだけではなく、自動運転に向いていません。それはなぜでしょうか。この記事では、自動運転とEVの関係や、エンジン自動車よりEVのほうが自動運転に適切な理由について解説します。   自動運転とEVの関係とは? 自動運転とは、人間の代わりに車が運転するシステムのことを指します。自動運転には、レベル0からレベル5までの5つのレベルがあり、レベル0は運転をすべて人間が行うレベル、レベル5は運転をすべて車が行うレベルです。自動運転とEVは、互いに良い影響を与える関係と言われていますが、その理由は何でしょうか?おもに次のような理由が挙げられます。 ・混雑した道路をよりスムーズに走行できる ・EVが搭載するバッテリーをセンサーなどに利用できる ・無駄な操作がなくなり省エネにつながる EVの自動運転車は、エンジン自動車の自動運転車に比べて、より細かく停止と発進を制御することができます。これは、EVの自動運転車が、エンジン自動車に比べて加速と減速が速いためです。また、EVの自動運転車は、停止している間もバッテリーの電力を消費しません。そのため、EVの自動運転車は、エンジン自動車の自動運転車に比べてエネルギーをより効率的に使用することができます。 また、EVのバッテリーは非常に大容量です。そのため、EVのバッテリーを各種センサーなどの電源として利用することができます。これにより、センサーの設置に伴う電力不足に陥ることはありません。また、EVのバッテリーをセンサーなどの電源として利用することは、省エネにもつながります。 さらに、EVの高度な自動運転車は、ドライバーが運転操作を必要としません。そのため、ドライバーの無駄な操作がなくなり、省エネにつながります。例えば、ドライバーは交差点の交差待ちや渋滞中などの際にアクセルやブレーキを頻繁に操作する必要があり、これらの操作はエネルギーの無駄遣いです。EVの自動運転車は、無駄な操作を必要としないため、エネルギー効率を向上させることができます。 EVと自動運転は、それぞれが単独であってもメリットがありますが、組み合わせることでさらに大きなメリットを得ることができます。EVと自動運転を組み合わせれば、交通社会は大きく変革し、より安全で効率的になることが期待されます。   エンジン自動車で自動運転はできない? では、エンジン自動車で自動運転をすればよいのではないかと思う方もいるでしょう。エンジン自動車も自動運転することは可能ですが、いくつかの課題を解決する必要があります。 ・エンジン自動車構成の単純化 ・大容量バッテリー エンジン自動車はエンジン、駆動系(パワートレインとも呼ばれています)部品、電装部品など、数多くの部品が使用されており、その構造はとても複雑です。自動運転車は周りの状況を確認できるセンサー、自動運転システムが組み込まれたECU等が必要になります。そのため、エンジン自動車を自動運転車に変えるためにはセンサーやECUなどを別途搭載する必要がありますが、現在のエンジン自動車の構造を変えて、追加部品を搭載することは簡単ではないことです。 また、自動運転のシステムは消費電力が大きいため、大容量のバッテリーが必要となります。エンジン自動車のバッテリーは小型のため、自動運転システムの消費電力に対応することができません。自動運転のシステムは、カメラなどの様々なセンサーを搭載しています。これらのセンサーは、周囲の状況を認識するために多くの電力が必要です。自動運転のシステムは車両を制御するためにも多くの電力を消費します。ゆえに、消費電力の点もエンジン自動車の課題の一つだと言えます。   自動運転が抱える課題とは? 自動運転はまだ開発途上にあり、本格的な実用化にはもう少し時間がかかります。現在の自動運転の課題は、大きく分けておもに次の3つがあります。 ・技術的な課題 ・法的な課題 ・社会的な課題 まず大前提となるのは、自動運転を実現させる技術力があるかどうかです。自動運転車を実現するためには、高度なセンサーやカメラ、AI技術などの開発が必要となります。これらの技術は、現代ではまだ十分に成熟しているとは言えません。 法的な課題については、自動運転車を走行させるための法律や規制の整備が必要なことです。現在、自動運転車を走行させるための法律や規制は整備されておらず、一般のドライバーが自由に自動運転車を利用できる状況ではありません。 […]
2023年6月13日

自動車の先端技術が見られる、「人とくるまのテクノロジー展2023横浜」出展レポート

全世界で脱炭素化が話題になっており、成し遂げようとする動きが加速している中、日本をはじめ多くの国が2050年のカーボンニュートラルを目指して取り組んでいます。自動車産業にもその影響が及ぼしており、世界各国の自動車メーカーはカーボンニュートラルのために自動車向けの新素材や電気自動車向け新技術などを開発しています。また、カーボンニュートラルと同じく、自動車産業に大きな変化をもたらしている潮流として、世界共通の課題となっているのが自動運転です。 自動車大国である日本も自動車の脱炭素化や自動運転に向けた技術開発が進んでおり、その成果を 「人とくるまのテクノロジー展 2023」で確認することができました。リアル開催が30回目となる今回は、日本を代表する日産、本田などを含む約500社が出展し、新型車や電気自動車に関する新技術やサステナビリティを実現に貢献できる技術、自動運転に必要なレーダー、ライダー及びテスティングソリューションなどを紹介しました。今年の展示会に去年より2万人が増えた約6.3万人が来場し、コロナ以前の規模に近づいた状況になりました。弊社は今年を含め、2年連続で出展して自動運転に欠かせない技術、自動車向けサイバーセキュリティを紹介しました。自動車がスマートになり、あらゆるものと連携されると自動車のサイバーセキュリティは何よりも重要になるでしょう。これからの自動車産業において最も重要になると予測されている自動車サイバーセキュリティを紹介したその現場を、これからお届けしたいと思います。  自動運転に欠かせないサイバーセキュリティ対策 国連の自動車基準調和世界フォーラム(WP29)の参加国である日本も22年7月から新型車に対するサイバーセキュリティ構築を義務付ける規制を発効したため、これからの自動車産業においてサイバーセキュリティ構築は必要不可欠なものになりました。 弊社のブースでは自動車に対する国際規制、サイバーセキュリティ管理システム(CSMS)に対応するために必要なソリューションを紹介するため、自動車サイバーセキュリティ構築を主なテーマとしてブースの内容を構成しました。弊社のサービスを3つ(WP29コンサルティング、テスティング、ソリューション)に分けて、それぞれ当てはまるサービスを来場客に詳しく紹介しました。 WP29コンサルティングは自動車業界で最大の話題であるCSMS構築をサポートするサービスで、テスティングは構築されたセキュリティの有効性を確認するサービス、ソリューションは弊社の独自技術で完成した車載ネットワークセキュリティのことです。この中で、多くの来場客が興味を示したサービスはテスティングで、弊社が提供しているAutoCrypt Security AnalyzerやAutoCrypt Security Fuzzerに関して様々な質問をいただきました。自動車産業に関わっている企業である場合、国際規制であるWP29へ対応するため、CSMS構築が求められる可能性が高いです。したがって、OEMだけでなく、サプライヤーも、これからサイバーセキュリティのガイドラインを作り、国際規制へ対応していく必要があります。しかし、サイバーセキュリティ観点で組織、製品を分析、必要なセキュリティを構築するプロセス自体に慣れてない企業様も多いと思います。そのために、アウトクリプトは顧客の状況に合わせたカスタマイズサービスも提供しています。   自動車の企画から走行まで、3社共同でサポートする 今回はAUTOSARソフトウェアを開発するポップコーンザーとデジタルツインシミュレーション企業MORAIと共同出展し、これからの自動運転車及びSDV(Software-Defined Vehicle)の開発及びテスティング課題の解決に貢献できる共同サービスを紹介することもできました。自動車の企画段階からECU及び車載ソフトウェア、E/Eアーキテクチャの保護等に必要なツール(サイバーセキュリティ、AUTOSAR)を提供し、MORAIが提供するデジタルツインシミュレーションで自動車を実際と同じ環境で走行することが可能になります。共同サービスにより、国際規制へ対応と開発費用負担を大幅に減らすことが可能になると思われます。 幸いなことに、去年より多くの方々が同社のブースに立ち寄り、自動車サイバーセキュリティに興味を示しました。来場客の中ではOEM、サプライヤー、ソリューション企業も多かったので、自動車サイバーセキュリティが重要なポジションになっていると実感しました。 今回の展示会で日本の顧客とお話ができ、サイバーセキュリティの重要性と当社のソリューション及びサービスを紹介することができる良い機会だったと思います。今後も激変している自動車産業に合わせて、必要とされるソリューション及びサービスを開発・提供し、日本の「安心・安全な移動」に貢献していきたいと思います。また皆様にお会いできることを楽しみにしております。   今回の展示会で紹介したソリューション及びサービスの詳細は下記URLからご覧ください。 国際規制への完全対応サポート「WP29対応コンサルティング」 車載ネットワークセキュリティ「AutoCrypt IVS」 車載OSS脆弱性診断、自動分析ツール「AutoCrypt Security Analyzer」 […]
2023年4月25日

自動運転にはクラウドサービスが必要?活用事例と課題について

現在、自動車はWireless KeyやETC、GPSなど多くの通信で外部と繋がっており、Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared & Services(シェアリング&サービス)、Electric(電気自動車)のCASEを制す企業が2020年代以降の自動車業界を制す、と言われています。そのうちの一つである自動運転システムの進化に伴い、車内で生じる通信量は確実に増加しています。自動車の通信先も複雑化しており、今後も増加する通信に対してクラウドが着目されています。本記事では、自動運転と求められるクラウドサービスについて解説していきます。   自動車の通信先と通信方式 自動車の通信先は、V2X通信種別として大きく6つ(V2V,V2I,V2P,V2N,V2D,V2G)に分類されます。まず、それぞれの通信について簡単に説明します。 V2V:自動車と自動車間の通信。緊急車両存在通知などの機能がある。 V2I:路側機と自動車間の通信。右折時注意喚起や赤信号注意喚起などの機能がある。 V2P:歩行者と自動車間の通信。歩行者の存在を知らせる機能がある。 V2N:ネットワークと自動車間の通信。様々なクラウドサービスの機能を利用することで実現している。 V2D:デバイスと自動車間の通信。スマートフォンなどと車を接続する機能がある。 V2G:充電設備と自動車間の通信。充電の動作状況について通信を行う このうち、本記事ではクラウドサービスを介して通信を行うV2Nに着目することとします。まず、ネットワークという通信相手に対して、どのような通信方式で通信が実現されるのでしょうか。V2Nの中でも通信中継点により異なる通信方式を取ります。 充電ステーション:電力線通信 スマートフォン/タブレットなど:Bluetooth/Wi-Fi 基地局:セルラー通信(4G/5Gなど) このように、自動車から上記の通信方式で通信中継点を介してインターネットに接続し、通信相手のクラウドサービスと接続することができます。それでは、クラウドサービスと接続するV2N通信によりどのような機能を実現できるのでしょうか。具体的に、以下の内容を実現することができます。 OTA:セルラー通信を利用することで、遠隔地より電子制御システムのソフトウェアのアップデートを行う。 オペレータサポート:オペレーターのガイドにより、目的地や周辺のスポットの検索などの各種ナビゲーションを支援する。 状態監視:ドアこじ開けや衝突など車両の状態を遠隔で監視し、所有者や監視センターへ通知する 遠隔操作:充電、エアコン、ドアロックなどを遠隔で操作する 料金支払い:車両利用中に発生する様々な料金の支払い(高速道路・駐車場・ガソリンスタンドなど)を行う ルート検索:目的地へのルート検索(最短・最安ルートの検索)などを実施する このように、自動運転では膨大なデータ量を収集することができ、それを元に新機能として便利に自動車を利用することができるようになります。この収集した膨大なデータ量を収集/一時保管するために着目されているのが、クラウドサービスです。クラウドサービス上でこれらの情報を管理することで、周辺の渋滞情報など各種ナビゲーションを含む上記の情報が指定したユーザ 間で簡単に共有できるようになります。ただ、ネットワーク経由による情報処理/伝送遅延や必要情報取捨選択利用のしくみ・機能の開発、対象サービス規模拡張に見合ったサーバー能力・通信容量準備がV2Nによる情報利活用の課題として挙げられます。それでは、これらV2Nの課題に対して日本政府はどのような取組を実施しているのでしょうか。 […]
2022年8月5日

C-V2XとDSRCの違いと今後の展望、世界各国のV2Xの導入状況について

V2Xを実現する技術として世界的に標準化が進められている通信規格に「C-V2X」と「DSRC」があります。どちらも、無線通信を使って自動車とリアルタイムで相互に通信を行うという点では同じですが、性能や特性には大きな違いが見られます。本記事では、「C-V2XとDSRCの違い」と今後の展望を、「世界各国のV2Xの導入状況」とともに詳しく解説していきます。   V2Xとは?C-V2XとDSRCの違いと今後 V2X(Vehicle to Everything)は、「自動車」と「あらゆるモノ」を繋げる無線通信技術の総称です。V2Xが実現することで、交通安全・交通利便性・自動運転・輸送管理・少子高齢化・エネルギー問題などの様々な分野の課題解決が期待されています。 2022年現在、車と接続する「モノ」として想定されているのは以下の4つです。 V2V(Vehicle to Vehicle):自動車と自動車の通信 V2I(Vehicle to Infrastructure):自動車とインフラ(車道に設置された通信機、ETC、信号機など)の通信 V2P(Vehicle to Pedestrian):自動車と歩行者の通信 V2N(Vehicle to Network):自動車とネットワークの通信 V2Xを実現する技術として標準化が進められている通信規格が2つあります。それが「DSRC」と「C-V2X」です。   DSRCとは? DSRC(Dedicated Short Range Communication)は高度道路交通システム(ITS)で利用されている通信規格で、例えば道路脇に設置された通信機と車載機が双方向無線通信を行い、交通情報の提供などを可能とします。数m~数十m程度の狭い距離で通信を行うため「狭路通信」とも呼ばれます。 […]
2022年7月21日

WP29国際法規基準を詳しく解説、メーカー/サプライヤーに求められる対応とは?

自動運転車技術の向上とともに増加が懸念される「サイバー攻撃リスク」に対応するため、国連組織のWP29(自動車基準調和世界フォーラム)は、傘下のGRVA分科会内にCS(Cyber Security:サイバーセキュリティ)とSU(Software Update:ソフトウェアアップデート)に関わる専門家会議を新設しました。同専門家会議によって新たに取りまとめられたCS/SU規則は2020年6月24日に採択、2021年1月に発効され、日本においては2022年7月から本規則の適用が求められます。 WP29加盟国には本規則への適用が義務付けられているためその影響は大きく、日本政府には新たな法規整備が、メーカー・サプライヤーには規則準拠の生産体制の早急な整備が求められています。 そこで本記事では、WP29及びCS/SU規則の詳細と、各メーカ・サプライヤーが求められる対応について解説していきます。 また、そもそも「自動車サイバーセキュリティの必要性」を疑問に感じる方は、以下の記事を一読いただいてから本記事をお読みいただくと、一層理解が深まるかと思います。 自動車の技術革新がもたらす未来と、サイバーセキュリティ対策の必要性とは?   WP29とはなにか? WP29は、国や地域ごとにバラバラな自動車に関する保安基準・法規基準を統一し、「安全な自動車」の世界流通を目的とした組織です。WP29に加盟している国は、自動車の国際的な流通活動をするにあたり、必ずWP29で策定された法規を自国の法規に反映させる必要があります。 正式名称は「自動車基準調和世界フォーラム WP29」で、国連欧州経済委員会の傘下に属しています。WP29は1つの運営委員会と6つの専門分科会で構成されており、各分科会で専門家による検討会議を行うことで、国際的な法規・技術基準案の策定・審議・採決を行います。 自動運転車のサイバーセキュリティについては、「GRVA」という専門分科会にて議論されており、本記事のテーマである「CS/SU規則」もGRVAで策定された法規基準です。   WP29の活動と日本 自動車が国の重要産業でもある日本は、自動運転に関わる制度整備に積極的に取り組んでいます。WP29 GRVAのサイバーセキュリティ専門家会議でも、日本は英国と共同で議長を務めており、国際的な法規基準策定の場で積極的にイニシアチブを取っている様子が伺えます。 また2020年4月には、当時まだWP29 GRVAにて議論中であったCS/SU規則※を反映した「改正道路運送車両法」を施行するなど、世界に先駆けた制度整備が進められています。 ※CS/SU規則:サイバーセキュリティ/ソフトウェアアップデート規則   WP29が自動車メーカー・サプライヤーに求める対応 本章ではWP29が採択したCS/SU新規則と、従来の自動車セキュリティ基準とを比較し、中でも重要な変更点に着目して解説していきます。正確な規則内容を把握したい方は、WP29 GRVAが公開している公式資料をご覧いただくと良いでしょう。 最大の変更点は「プロセス認可」の導入 WP29 […]
2022年7月21日

自動車の技術革新がもたらす未来と、サイバーセキュリティ対策の必要性とは?

近年「自動車のIoT化」や「自動運転」に代表されるように、いわゆる「モビリティ社会」の実現へ向けた動きが世界規模で活発化しています。例えば日本では、2030年までに完全自動運転車(レベル5相当)の実用化を目指していますし、電気自動車や自動車のIoT化に関する技術発展も顕著です。これに、Uberを始めとする「シェアリングエコノミー」拡大の波が重なることで、自動車の所有や運転から解放される新たな世界の到来が、すぐそこまで近づいてきています。このように、自動車業界が「100年に1度」ともいわれる技術的大変革期を迎える中、それに伴い、最も深刻な課題として日夜議論され続けているテーマが「自動車セキュリティ」です。 そこで本記事では、自動車の技術的大変革がもたらす未来と、自動車サイバーセキュリティ対策の必要性について詳しく解説していきます。   自動車の未来とサイバーセキュリティの必要性 自動車の技術的進歩がもたらす未来を知るにあたり、まず触れておきたいのが「CASE」という概念です。CASEは、自動車がネットワークにつながり(Connected)、完全自動化し(Autonomous)、シェアされ(Shared and Services)、電動化する(Electric)という4つの概念・技術課題のことを意味する造語です。 CASEが実現することでまったく新しい「モビリティ社会」が訪れることは間違いありませんが、そのためには自動車の「サイバーセキュリティ対策」が欠かせません。本章では、現状のCASEが抱えているセキュリティ課題について解説していきます。 Connected(ネットワークへの接続) 車はネットワークにつながることで単なる「移動手段」ではなく、人の暮らしをあらゆる側面からサポートする「走るITデバイス」として進化し、これまでにない新たなサービス体験をもたらします。しかし一方で、車がネットにつながることにより、ネットから車へ攻撃されるリスクが生じることも事実です。以降で紹介するCASEのセキュリティ課題のほぼすべての共通点は「ネットから侵入され攻撃される」ことであり、つまり「Connected」こそがあらゆる攻撃の起点となってしまうのです。 例えば、車がリモートで攻撃され車両の操作権を奪われたり、車に保存されている個人情報が流出するなどのケースは十分に考えられます。事実として、これまでに「コネクテッドカー※」として販売された高級車においては、すでに複数のハッキング攻撃事例が報告されているのです。 2020年1月、MobieyeとテスラのADASおよびオートパイロットシステムが欺かれ、ブレーキをリモートで操作されて対向車線に侵入。 2020年8月、ハッカーがサーバ側の脆弱性を突いてテスラ製コネクテッドカーの車両全体の制御権を奪うことに成功。 Autonomous(自動運転) 自動運転を実現するには、自動運転システムが直接外部と通信を行い、各種道路交通情報や車載センサー等のデータを相互的にやり取りする必要があります。この際の通信相手は、各種ソフトウェア開発事業者、運行管理システム提供者、車車間通信(V2V)、路車間通信(V2I)など多岐にわたりますが、それはすなわち、同じ数だけの侵入経路が存在するということと同義です。 また、自動運転技術に欠かせない「機械学習」や「深層学習」に基づくAI技術に対する攻撃にも警戒が必要です。「学習済みモデル」を改ざんしたり、AIを欺くようなデータを送り付け誤検知を誘発するなど、実証されている攻撃方法はすでに多数報告されています。 このように、自動運転は革新的な技術ゆえに、その実現には膨大かつ複雑なシステムの実装・連携が欠かせませんが、複雑であればあるほど「脆弱性」が生まれる確率は高まります。最新の旅客機を動かすプログラムコード(1500万行)の20倍のコ―ドが必要とされる自動運転車を安全に提供するためには、より多面的・多層的で、他のどんなIoTよりも強固なセキュリティ対策が求められます。 Shared and Services(シェアリングとサービス) 2016年9月に行われた「パリモーターショー2016」にて、CASEの概念を世界に初めて発表した自動車大手メルセデス・ベンツ社は、今後10年でカーシェアリングビジネスがモビリティ社会を支配すると予想しました。 従来、車とは「個人所有」が当たり前であり、自分の車(特に車内)にアクセスできるのは所有者だけでした。よって「車内に侵入されたこと」を前提にした対策はなされず、そもそもその必要性すらありませんでした。しかし、上述の予想が正しいとすれば、CASEの実現によって車は「所有するもの」から「借りるもの/利用するもの」へと変わり、私たちは、過去に誰が接触しどんな細工をしたかも分からない車を日常的に利用する事になるのです。その違和感に気づかないまま。 こういった車両改造等のリスクを防ぐためには、自動車メーカー・サプライヤーの努力だけでは不十分であり、シェアリングサービスを提供する民間企業と行政間での密な連携が求められます。 Electoric(電動化) 自動車の電動化と聞くと「ガソリンじゃなく電気で走る(だけ)」と思うかもしれませんが、電動化の魅力はそれだけではありません。エンジン不要により空いたスペースにECUや各種センサーを搭載でき、ハンドルによる物理操作はより精密な電子制御へ、物理制御ゆえの複雑な機構をシンプルなものへと改善できます。車のあらゆる機能がソフトウェアによって電子的に制御されることで、自動車はこれまでと比較にならないほどフレキシブルかつインタラクティブなサービス提供が可能になるのです。 一方でやはり課題は「サイバー攻撃対策」です。ソフトウェアには実装・改善が容易というメリットがありますが、攻撃者の存在を考慮すると、それらは同時にデメリットにもなり得ます。既述のように、車載ソフトウェアが増えれば増えるほど攻撃起点は増加するため、さらなるセキュリティ対策が必要となります。 […]
2019年2月26日

ペンタセキュリティ、Security Days 名古屋でコネクテッドカーの未来像とセキュリティについて解説

IoT・クラウド・ブロックチェーンセキュリティ専門企業のペンタセキュリティシステムズ株式会社(日本法人代表取締役社長 陳・貞喜、https://www.pentasecurity.co.jp、以下ペンタセキュリティ、韓国本社、ヒューストン/米国法人)が2月22日、名古屋で開かれたSecurity Days Spring 2019 名古屋でコネクテッドカーセキュリティ・ソリューションである「AutoCrypt®(アウトクリプト)」を紹介し、コネクテッドカーの未来像とセキュリティについて解説した。 <ペンタセキュリティの南 氏がコネクテッドカーの未来像とセキュリティについて解説した。> 2013年から開催されたSecurity Daysは、毎年の春と秋に東京・大阪・名古屋・福岡など、日本各地で開催されるイベントであり、講演セッションが中心となるセキュリティ中心のカンファレンスである。 様々な分野のセキュリティ関連情報を提供しており、特に情報システム担当者の実務に役立つ知識を提供し、好評を得ている。今回、名古屋イベントでは、’Autonomous Driving & Connected Car’カンファレンスが同時に開催され、自動運転技術とコネクテッドカー技術に対して高まった関心を証明した。 自律走行車が未来の新たなサービスプラットフォームとして急浮上することにより、将来の車両に不可欠な対応が求められるセキュリティも新たな課題として浮上した。そのため、グローバルで優れた技術力を認められているペンタセキュリティが、Security Days 名古屋に参加し、コネクテッドカーセキュリティ・ソリューションである「AutoCrypt®(アウトクリプト))を紹介し、セミナーを介して、コネクテッドカーと自律走行技術の未来像と適用事例を紹介しながら、各国のセキュリティ要件と適用技術について解説する時間を持った。 安全なV2X環境構築のために、韓国のC-ITS実証事業に参加しているペンタセキュリティは、今回のイベントだけでなく、Automotive Worldを始め、米国から開催されたOmniAir Plugfest等に参加し、SCMS(車両向けのPKI システム)テストシナリオ作成及びプロセス標準化作業を進めるなど、コネクテッドカーセキュリティ技術と関連した様々な活動を国内外から展開している。 イベントで紹介されたペンタセキュリティの「AutoCrypt®(アウトクリプト)」は、コネクテッドカーセキュリティに不可欠なセキュリティ機能をトータルで提供するソリューションであり、車両外部から内部に侵入する攻撃トラフィック及び内部から形成される攻撃トラフィックを検知する車両用アプリケーションファイアウォールのAutoCrypt AFW、車両と外部インフラの安全な通信を保障するAutoCrypt V2X、電気自動車の充電の際、安全なPnC(Plug and […]
2017年12月1日

ペンタセキュリティ、自動運転車実験都市「K-CITY」にセキュリティソリューションの受注

データ暗号化とWebセキュリティ専門企業のペンタセキュリティシステムズ株式会社(日本法人代表取締役社長陳貞喜、https://www.pentasecurity.co.jp、以下ペンタセキュリティ、ソウル/韓国本社、ヒュースト/米国法人)は、韓国政府所管の協調型高度道路交通システム(Cooperative Intelligent Transport System、以下C-ITS)導入に向けた「K-CITYプロジェクト」で自動車セキュリティソリューション受注し、セキュリティシステムを2017年12月1日に構築開始することを明らかにしました。 <K-CITY鳥瞰図(資料=韓国交通安全公団)>  現在、世界各国では国の生産性や技術の競争力強化などを目的にし、自動運転技術の開発に取り組んでいます。特に、2020年まで半自動運転車の商用化され、2030年からは完全自動運転車が商用化されるという展望により、自動車製造メーカーはもちろん、グローバルIT企業まで自動運転技術を開発するための技術開発協力を強化し、共同開発を始めるなど、市場を先取りするために多様な試みが行われています。 特に各国では自動運転車市場の先取りのため、実際の環境に近い環境での実験を可能にするテストベッド(Test Bed)構築に取り組んでおり、今まで世界規模のテストベットとしては米国の「M-CITY」、日本の「JARI」、中国の「Nice City」などが構築されていました。一方、今回韓国政府で自動運転車の商用化時期を2020年に決め、政府所管の「K-CITYプロジェクト」を通じて、事実上、世界で2番目に大きいテストベッド構築を予定中です。 C-ITS導入に向けた韓国政府所管のK-CITYプロジェクトは、韓国初の自動運転実験都市であり、2018年には完工に向け、総11億円を投入し、32万m2(11万坪)規模の実験都市を構築しています。今回のプロジェクトに含まれたセキュリティシステム項目の場合、今後の自動運転車の商用化において非常な重要要素として作用することになる予定で、システム構築の主体に大きな関心が集まっていました。 ペンタセキュリティは、韓国のIoTセキュリティ技術基盤のコネクティッドカーセキュリティをリードしてきた技術力を認められ、当プロジェクトで車両間の通信、車両とインフラ間の通信、車両と道路の施設物間の通信における認証や暗号化を担当することになりました。これを通じて、大田(テジョン)、世宗(セジョン)、驪州(ヨジュ)の3都市で行われるC-ITS構築事業に次いで、ペンタセキュリティのAutoCrypt(アウトクリプト)は自動運転実験都市内に、セキュリティシステムを構築する予定です。 今回のセキュリティシステム構築に活用されるペンタセキュリティのAutoCrypt(アウトクリプト)は、韓国唯一のコネクティッドカーセキュリティ・ソリューションであり、K-CITYプロジェクトで車両向けファイアウォール「AutoCrypt AFW」車両と外部インフラ向けのセキュリティ通信システム「AutoCrypt V2X」車両向けのPKI認証システム「AutoCrypt PKI」を含め、車両内部セキュリティソリューションも提供する予定です。 ペンタセキュリティCSOのDSKimは、「自動運転車が解決しなければならない重要課題の1つはセキュリティである。自動運転車のネットワーク内外で発生する損傷は、人間の生命と直結されることを忘れてはいけない」とし、「韓国初の自動運転実験都市のセキュリティシステム構築を担当することは、今後の自動車セキュリティ技術の基礎を強化することと同じだと思う。K-CITYプロジェクトを通じて自動運転での先にセキュリティを実現してからネットワークで繋ぐことの重要性をもう一度示す予定だ」と言及しました。
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