電気自動車

2023年9月1日

V2Gとは?EVを電力インフラとして活用する「V2G」について

温室効果ガスの排出を減らし、全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」に日本を含む世界中の国々が参加し、実現に向けて取り組んでいます。カーボンニュートラル実現の影響は様々な産業に及ぼしており、発電においては化石燃料より再生可能エネルギー(太陽光、風力)を利用した発電、自動車産業では電気自動車(EV)の普及及び2035年からガソリン車の新車販売を禁止するなど、様々な産業で積極的に取り組んでいます。   その中でも注目を集めているのは、電力インフラとしてEVを組み込む「V2G」(vehicle-to-grid)です。EVを蓄電池として利用するV2Gは再生可能エネルギーの課題を解決できる技術として注目を集めています。この記事では、V2G概要、活用方法、課題などについて解説いたします。   V2Gとは?V2Hと何が違う? V2Gは電気自動車のバッテリーとスマートグリッド(Grid)を活用し、電力網インフラとして利用する技術のことで、電力会社の電力系統に接続して電気を相互に利用できる技術のことを意味します。 V2Gと似ている概念としてV2Hがあります。V2Hとは「Vehicle to home」の略語で、電気自動車と家庭で電力を充電・給電する技術です。V2Gと似ていますが、電力をやり取りする対象が違います。   V2Gが登場した背景は? カーボンニュートラルを実現するためには、再生可能エネルギーを使った発電は必須になりますが、重大な課題があります。それは「安定的な発電ができない」ということです。自然エネルギー(太陽光、風力)使うため、従来の発電に比べて不安定になってしまうことが解決すべき課題として残っています。その短所を補うためには、発電した電力を保存しておく大容量の「蓄電池」がどうしても必要になります。しかし、大容量の蓄電池を社会インフラとして構築するのは簡単ではなく膨大な資金が必要になるため、導入検討にも相当な時間がかかります。しかし、電気自動車の登場・普及により、社会インフラとして蓄電池を構築するのではなく、電気自動車を蓄電池として利用する動きが始まりました。    V2Gのメリットとは? 1.電力系統の安定化につながる カーボンニュートラルを実現するために、世界中で積極的に再生可能エネルギーの発電を取り入れている状況ですが、従来の発電と比べて安定ではないところが課題として指摘されてきました。電力供給が足りない場合、大規模停電が発生する可能性もありますので、需要量に合わせて電力を発電、送電する必要があるあります。しかし、再生可能エネルギーを利用した発電は天候によって発電量が急変するので、需給のバランスを保つことが難しいです。しかし、EVが電力系統に接続しやり取りできるV2Gを導入する場合、このような課題を解決することができます。具体的に説明しますと、EVを蓄電池として利用し、発電量が多い場合はEVに電力を保存しておき、発電量が少ない場合は系統に接続しEVの余った電力を供給することが可能になります。 2.電力企業とEV所有者にメリット 増える電力需要に対応するためには、より多い電力量を送電する設備が必要になります。その送電インフラ構築には多大な費用が掛かりますが、V2Gを導入することで費用を抑えることができ、柔軟に電力需要に対応することができます。また、EV所有者は電力系統に接続して余った電力を売ることで新しい収入源を作ることができます。 3.緊急時、バックアップ電力として利用 電力網に障害が発生したり、災害などの緊急事態が発生した場合、停電になる可能性も高くなります。しかし、V2Gに参加したEVがあれば、家庭や企業、重要なインフラに電力を供給することが可能になり、停電の備えとして活用することができます。 このように、V2Gは電力企業だけでなく、EV所有者にもメリットがあるといえます。では、日本のV2Gはどこまで来ているのか確認してみましょう。   日本におけるV2G取り組み 1.平成30年のEVアグリゲーションによりV2Gビジネス実証実験*¹ 東京電力ホールディングス株式会社と日立ソリューションズなど7社が参加した実証事業コンソーシアムです。現地実証を行うため、実証サイトを構築してV2G機器の動作検証や制御要件への適合性を確認する実証試験を実施しました。この実証事業では、EVが系統安定化(特にローカル系統安定化)に寄与する可能性が高いと判断し、それに関する制御システムの検証を行いました。今後、本実証試験で得られた成果と課題を踏まえ、オンラインので制御や複数サイトでの同時制御、SOC想定/計画の高度化検討などの実証事業の範囲を広げています。 2.V2G実証プロジェクトの概要について*² […]
2023年7月17日

自動運転とEVの関係とは?エンジン自動車との違いも解説

自動運転のニーズが高まっており、2023年4月1日には「自動運転レベル4」が解禁されました。自動運転は、交通事故の減少・環境への負荷の軽減・移動の利便性向上など、多くのメリットが期待されています。自動運転とEVは互いに相乗効果を生み出すため、自動運転車はEVの普及をさらに促進する可能性があります。それゆえ、自動運転車が普及するためには、EVへのシフトが不可欠です。一方、エンジン自動車は環境への負荷が大きいだけではなく、自動運転に向いていません。それはなぜでしょうか。この記事では、自動運転とEVの関係や、エンジン自動車よりEVのほうが自動運転に適切な理由について解説します。   自動運転とEVの関係とは? 自動運転とは、人間の代わりに車が運転するシステムのことを指します。自動運転には、レベル0からレベル5までの5つのレベルがあり、レベル0は運転をすべて人間が行うレベル、レベル5は運転をすべて車が行うレベルです。自動運転とEVは、互いに良い影響を与える関係と言われていますが、その理由は何でしょうか?おもに次のような理由が挙げられます。 ・混雑した道路をよりスムーズに走行できる ・EVが搭載するバッテリーをセンサーなどに利用できる ・無駄な操作がなくなり省エネにつながる EVの自動運転車は、エンジン自動車の自動運転車に比べて、より細かく停止と発進を制御することができます。これは、EVの自動運転車が、エンジン自動車に比べて加速と減速が速いためです。また、EVの自動運転車は、停止している間もバッテリーの電力を消費しません。そのため、EVの自動運転車は、エンジン自動車の自動運転車に比べてエネルギーをより効率的に使用することができます。 また、EVのバッテリーは非常に大容量です。そのため、EVのバッテリーを各種センサーなどの電源として利用することができます。これにより、センサーの設置に伴う電力不足に陥ることはありません。また、EVのバッテリーをセンサーなどの電源として利用することは、省エネにもつながります。 さらに、EVの高度な自動運転車は、ドライバーが運転操作を必要としません。そのため、ドライバーの無駄な操作がなくなり、省エネにつながります。例えば、ドライバーは交差点の交差待ちや渋滞中などの際にアクセルやブレーキを頻繁に操作する必要があり、これらの操作はエネルギーの無駄遣いです。EVの自動運転車は、無駄な操作を必要としないため、エネルギー効率を向上させることができます。 EVと自動運転は、それぞれが単独であってもメリットがありますが、組み合わせることでさらに大きなメリットを得ることができます。EVと自動運転を組み合わせれば、交通社会は大きく変革し、より安全で効率的になることが期待されます。   エンジン自動車で自動運転はできない? では、エンジン自動車で自動運転をすればよいのではないかと思う方もいるでしょう。エンジン自動車も自動運転することは可能ですが、いくつかの課題を解決する必要があります。 ・エンジン自動車構成の単純化 ・大容量バッテリー エンジン自動車はエンジン、駆動系(パワートレインとも呼ばれています)部品、電装部品など、数多くの部品が使用されており、その構造はとても複雑です。自動運転車は周りの状況を確認できるセンサー、自動運転システムが組み込まれたECU等が必要になります。そのため、エンジン自動車を自動運転車に変えるためにはセンサーやECUなどを別途搭載する必要がありますが、現在のエンジン自動車の構造を変えて、追加部品を搭載することは簡単ではないことです。 また、自動運転のシステムは消費電力が大きいため、大容量のバッテリーが必要となります。エンジン自動車のバッテリーは小型のため、自動運転システムの消費電力に対応することができません。自動運転のシステムは、カメラなどの様々なセンサーを搭載しています。これらのセンサーは、周囲の状況を認識するために多くの電力が必要です。自動運転のシステムは車両を制御するためにも多くの電力を消費します。ゆえに、消費電力の点もエンジン自動車の課題の一つだと言えます。   自動運転が抱える課題とは? 自動運転はまだ開発途上にあり、本格的な実用化にはもう少し時間がかかります。現在の自動運転の課題は、大きく分けておもに次の3つがあります。 ・技術的な課題 ・法的な課題 ・社会的な課題 まず大前提となるのは、自動運転を実現させる技術力があるかどうかです。自動運転車を実現するためには、高度なセンサーやカメラ、AI技術などの開発が必要となります。これらの技術は、現代ではまだ十分に成熟しているとは言えません。 法的な課題については、自動運転車を走行させるための法律や規制の整備が必要なことです。現在、自動運転車を走行させるための法律や規制は整備されておらず、一般のドライバーが自由に自動運転車を利用できる状況ではありません。 […]
2023年2月17日

EVセキュリティ、EV市場の拡大に不可欠なもの

前編では「日本のEV市場で日産の活躍、その理由を徹底分析!」について説明しました。詳しくは記事を参考にしてください。 世界中で加速している脱炭素社会に向けた取り組み。その中でも近年急激にEV市場が日本で注目されてきています。前回は、日本EV市場が注目されるようになった理由とそのトリガーについて説明しました。今回は、EV市場の更なる拡大に必要不可欠といわれるセキュリティ対策について解説していきます。   拡大し続ける自動車セキュリティ市場 世界の自動車サイバーセキュリティ市場は2027年までに86億1000万米ドルに達すると予想されています。この自動車サイバーセキュリティ市場の成長は、特にEVセグメントでのコネクテッドカーの増加と、規制機関による車両データ保護の義務化に起因しています。 まず、EVセグメントでのコネクテッドカーの増加について説明します。常時インターネットに接続可能なコネクテッドカーは2025年には世界で2億台以上が走行すると予測されており、各自動車メーカーがAI、デジタルコクピット、データ活用ソリューションを活用したビジネスモデルの確立を急いでいます。 次に、規制機関による車両データ保護の義務化について説明します。2021年1月に国連欧州経済委員会(UN/ECE)の下部組織である「自動車基準調和世界フォーラム」から発効されたサイバーセキュリティ法規「UN-R155」に則り、欧州や日本では2022年7月以降に発売される一部の車両から、セキュリティ対策が十分でない車両への規制が始まっています。 つまり、EV市場の拡大に伴ってセキュリティ市場もさらに拡大し続けると予想されています。   自動車の進化、それに伴うリスクとは 技術の進化により、自動車を「走るコンピュータ」といっても過言ではなくなってきました。実際に、自動ブレーキや前車追従機能、レーンキープアシスト(LKA)などの運転支援を行う「ADAS」(先進運転支援システム)が導入された自動車が増えてきています。ちなみにこれを実現しているのは車載の電子制御システムです。また近年、自動車メーカーにて自動運転や自律運転を実現するため更なる開発が進められています。これには、自動車同士、あるいは自動車と各種インフラ(道路情報システムなど)が通信しあい、クラウドと接続し続ける必要があります。 コンピュータがハッキングされても、直接人命にかかわるようなケースはこれまで少なかったため、セキュリティの重要性をそこまで実感しない方も多かったのではないでしょうか。しかし自動車にはコンピュータと異なる特有のリスクがあり、ハッキングが人命に関わる事故につながる可能性が非常に高いといわれています。例えば、悪意ある攻撃者が自動車の専用ネットワークを経由し、中枢コンピュータ(ECU=Electronic Control Unit)に侵入し、システム情報を窃取する、もしくはシステム自体を乗っ取って、思うままに電子制御システムをコントロールしてしまう恐れがあります。攻撃者のコントロール下におかれることにより電子制御システムが運転者の意図しない動作を引き起こせば、そこに乗車している人の安全性だけでなく、周囲の人々や他車両への危害につながります。また、車両が無線ネットワークと接続していれば、複数の車両に対して同時に攻撃が行われる可能性があり、一つのハッキングがテロのような社会的な混乱を引き起こす恐れがあります。さらに自動車の走行履歴や位置情報、車載インフォテインメント(IVI)からのコンテンツ情報、それに付随する個人情報などを窃取される可能性もあります。   脆弱と指摘される、EVの充電スタンド EVの充電スタンドは、攻撃者が攻撃しやすい入口として狙う可能性が高いと推測されています。なぜならば、充電スタンドはインターネットに接続されており、EVを充電する際に自動車とEVハブの間でデータ通信が行われていますが、充電スタンドに対して実施されているセキュリティ対策は不十分であることが懸念されているからです。実際に攻撃者が充電ハブに不正アクセスした場合の懸念事項として以下の四つの点が挙げられています。 ユーザの安全に対するリスク EVの充電ポイントを経由して車両のシステムにアクセスされ、運転者が意図しない動作により周りの車両を含む安全性が失われる可能性があります。 EV充電ネットワークの侵害 1つのデバイスの脆弱性が悪用されたことを発端にして、充電ハブのネットワーク全体が破壊される可能性があります。その結果、そのネットワーク全体に混乱が生じる可能性があります。 商業的損失 EVハブのネットワークを停止させるだけでなく、事業者の管理ソフトウェアにアクセスして例えばランサムウェアに感染させ、結果として金銭的な損害やその企業が風評被害を受ける可能性があります。多くの商用車がEVに移行していれば、パソコンから配送業務全体を停止させることも可能にしていまいます。 決済システム EVハブの決済システムが侵害され、ドライバーやネットワーク事業者に金銭的損失が発生する危険性があります。また、EVの充電スタンドでやり取りされた顧客のクレジットカード情報なども狙われる対象になりそうです。 自動車セキュリティに関わらず、データのやりとりが発生する経路、つまり通信を安全に行うためにセキュリティ対策が必須と言われています。EVにおいても全ての通信に対するセキュリティ対策が重要とされており、その中でも特に前述したECUを介した車両の通信へのセキュリティ対策と、充電時における車両とEVハブの間でのデータ通信に対するセキュリティ対策が必要となります。 […]
2023年1月27日

日本のEV市場で日産の活躍、その理由を徹底分析!

世界中で加速している脱炭素社会に向けた取り組み。その中でも近年急激にEV市場が日本で注目されてきています。今回は、日本のEV市場が注目されるようになった理由とそのトリガー、そしてEVに求められるセキュリティ対策について二回に分けて解説していきます。   軽EVをトリガーに立ち上がる日本のEV市場 日産「サクラ」は、2022年夏から年末にかけて4万台以上の受注が入るほどのヒット商品となっています。その理由は上段で説明したデメリットを解消するだけでなく、走りから乗り心地、内装までさまざまな質が高められているからです。これまでEVはエコや環境という文脈で語られることが多かったのですが、日産「サクラ」は日本初の軽自動車サイズEVであることで、(1)手ごろな価格設定、(2)車としての魅力を実現しています。 手ごろな価格設定 日産「サクラ」は、軽自動車であるという特性を活かして、手ごろな価格設定に近づけるため、電池容量をあえて20kWhにおさえています。これにより航続距離は180kmと短くなってしまいますが、日産の同規格ガソリン車ユーザーの1日平均走行距離30kmを踏まえると、普段の利用シーンでは問題になりにくいと考えています。また、電池容量以外でも部品の共用化によってコストを下げています。例えば、駆動モーターには、ハイブリッド車の日産「ノートe-POWER」や、プラグインハイブリッド車の三菱自動車「アウトランダーPHEV」などに搭載する小型モーターを使っています。また、プラットフォームも軽エンジン車「デイズ」と共通にすることで開発コストを抑えています。さらに、手ごろな価格設定を実現するため、EVに対する経済産業省や自治体から交付される補助金がカギとなっています。経済産業省からは55万円を、届け出する自治体によりますが、一例として東京都は45万円と高額であるため、交付額の合計は100万円に達します。これを踏まえると、自治体によってはEVの方が同規格のガソリン車よりも低額となるケースもあります。 車としての魅力 日産「サクラ」は、軽自動車の常識を超える195N・mという高トルクを実現しています。これは軽エンジン車「デイズ ターボ」の約2倍に当たり、軽自動車の非力さを感じさせず、高速道路の合流場面など様々なシーンでの軽自動車のデメリットを払拭した商品となっています。また、EVはモーター駆動のみでエンジンを搭載していないため、ノイズはハイブリッドと比べても圧倒的に小さく、加速の仕方もなめらかです。加えてモーターは瞬発力が強く、停車中や巡航時にアクセルペダルを踏み増した時の加速感は独特の迫力があり、運転感覚も楽しさがあるものとなっています。 これらから、日産「サクラ」は軽自動車として初の快挙である2022─23年の「日本カーオブザイヤー」において年間最優秀車賞を獲得しています。軽EVをトリガーに、日本のEV市場に変化が起きつつあります。   EVの普及が世界中で推進されている背景 2015年、温室効果ガス排出削減について努力目標を掲げたパリ協定が採択されました。ここから、世界中の脱炭素社会に向けた取り組みが動き出しました。その取り組みの一つとして、EVの普及推進が挙げられます。 日本では、2020年10月に菅元首相が「2050年のカーボンニュートラル実現」を宣言し、同年12月には「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略(以下、グリーン成長戦略)」が策定されました。2021年1月、菅元首相は施政方針演説で「2035年までに電気自動車(EV)と燃料電池自動車(FCV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、ハイブリッド自動車(HV)で新車販売100%を実現する」旨を発表しました。その後、同年6月に公表された「(改訂版)グリーン成長戦略」にはその旨が明記され、事実上、将来的なガソリン車の販売禁止が表明されています。このように世界中でEVの普及が推進されていますが、実際の日本と世界のEV普及状況はどうなのでしょうか。   今までの日本のEV市場について まず、日本の状況について紹介します。実は、2021年の新車販売台数約240万台のうち、日本のEVの販売台数は2万台強にとどまっています。これを割合に換算すると、新車販売台数のうちEVの販売台数は約0.9%しかありません。 一方でヨーロッパ主要18カ国の2021年の新車販売台数に占めるEVの割合は約11%です。電気自動車先進国といわれているイギリスの場合、2021年の新車販売台数のうち約11.6%がEVの販売台数となっています。また、アメリカにおける2021年の新車販売台数は約1,493万台で、そのうちEVが占める割合は約2.9%です。電気自動車先進国でない他国と比較しても、日本の普及率は特に低い水準にとどまってしまっていることがわかります。 では、日本ではなぜEVの普及が遅れてしまっているのでしょうか。本記事では、そのうち5つの理由を紹介します。 車両価格が高い EVと一般的なガソリン車を比較すると、EVは車両価格が高く、消費者が購入しにくい商品となってしまっています。日産「リーフ」は330万円以上、ホンダの「Honda e」は450万円以上と、同クラスのガソリン車・ハイブリッド車と比べるとかなり高額です。この理由は、EVに搭載されている充電池であるリチウムイオン電池に起因します。高価なリチウムイオン電池の機能を代替する安価な電池が見つかっていないため、コストが高止まりしてしまっているのです。 航続距離が短い EVはガソリン車と比較すると、航続距離が短い、つまり1回の充電で走行可能な距離が短いことで知られています。現在、平均的な仕様でクルマを走らせたときの航続距離は、日産「リーフ」で322km、ホンダ「Honda e」で256kmと公表されています。一方でガソリン車の航続距離は600km以上であるため、通勤や日用品の買い物などの日常的な利用には問題ありませんが、(3)で紹介する充電スタンドの整備状況も踏まえると長距離のドライブには不安を残します。 車種が少ない […]
2018年11月26日

ペンタセキュリティ、グリッドウィズ社と電気自動車の「Plug and Charge」ソリューション商用化

IoT・クラウド・ブロックチーェンセキュリティ専門企業のペンタセキュリティシステムズ株式会社(日本法人代表取締役社長 陳・貞喜、https://www.pentasecurity.co.jp、以下ペンタセキュリティ、韓国本社、ヒューストン/米国法人)が11月22日、スマートグリッド(Smart Grid)専門エネルギー企業のGridwiz(以下、グリッドウィズ)社と協力し、電気自動車の充電ソリューションに自動車セキュリティソリューションを適用した「Plug and Charge(プラグアンドチャージ)」ソリューションを商用化したことを明らかにした。 <ペンタセキュリティとグリッドウィズのPlug and Chargeソリューション> Plug and Charge(プラグアンドチャージ)とは、電気自動車を充電する際、認証や決済が自動で行われる充電技術である。充電サービス事業者の会員カードを利用する既存の決済方式に比べて便利だが、車両と充電器間の相互認証を通じて、自動決済され、車両の重要情報をやり取りするため、電子認証書の発行や設置、更新のための認証システムなど、高いレベルのセキュリティ技術が求められる。 ペンタセキュリティは、グリッドウィズが保有している電気自動車充電通信ISO15118国際標準と充電インフラ管理のためのOCPP1.6/2.0通信標準に自社の暗号化ソリューションを適用した。両社は、今回の協業を通じて、ISO/IEC15118など電気車充電システムのセキュリティ要求事項を満たす認証システムを構築することにより、便利で安全な充電や決済ソリューションを提供することになった。Plug and Chargeソリューションは、電気自動車のための様々な付加サービスのプラットフォームとして、来年ヨーロッパ市場から優先的に適用される予定である。 ペンタセキュリティは、自動車セキュリティソリューションである「AutoCrypt」を通じて、2016年から「協調型高度道路交通システムのモデル事業」の認証システム主管事業者に連続選定されているなど、持続的に国家交通のインフラ事業に参加している。そして、国際ISO15118標準化コンソーシアムである”CharIN”のメンバーとして参画しており、”CCS &ISO 15118シンポジウム”において、充電システムの相互運用性を検証するなど、国内外から活発に事業を進めている。 ペンタセキュリティのIoTセキュリティR&Dセンター長のシン・サンギュ工学博士は、「電気自動車の充電インフラはよく整っている方だが、充電の際、決済やサービスインフラは不足している。グリッドウィズとの”Plug and Charge(プラグアンドチャージ)”ソリューションは、電気車インフラの全般的な改善はもちろん、ドライバーの利便性改善にも役立つものと期待される」とし、「ペンタセキュリティの電気自動車充電セキュリティシステムである”AutoCryt V2G”は、電気自動車環境の通信セキュリティやユーザー認証、サービス業者の認証など、信頼環境構築に重要な役割を果たす見込みだ」と述べた。
2018年7月18日

グリッドウィズ社と電気自動車(EV)の充電インフラビジネスに関するMOU締結

IoT・クラウド・ブロックチーェンセキュリティ専門企業のペンタセキュリティシステムズ株式会社(日本法人代表取締役社長 陳・貞喜、https://www.pentasecurity.co.jp、以下ペンタセキュリティ、韓国本社、ヒューストン/米国法人)は、7月14日、スマートグリッド(Smart Grid)専門エネルギー企業のGridwiz(以下、グリッドウィズ)社と電気自動車(EV)の充電インフラ・ソリューションやスマートエネルギー・ソリューションに対して相互協力するMOUを締結したことを公表した。 これにより、ペンタセキュリティは、グリッドウィズ社の次世代電気自動車(EV)の自動決済のための「プラグ&チャージ(Plug and Charge:PnC)」システムに、自社の自動車セキュリティソリューションのAutoCrypt(アウトクリプト)を適用することになった。 プラグ&チャージ(Plug and Charge:PnC)とは、電気自動車(EV)の充電時にユーザ認証および決済が自動的に行われるようにする新しい充電技術のことである。カードを利用する従来の方式に比べ、利便性は高い反面、車両と充電器の間でデータのやり取りが行われるため、高度なセキュリティが求められる。両社は今回のMOU締結により、ISO/IEC 15118などの電気自動車の充電システムに求められるセキュリティ要件を満たす認証および検証システムを構築することで、電気自動車インフラ市場において、便利で安全な充電および決済ソリューションを披露する計画である。 AutoCryptは、車両の外部から内部への攻撃トラフィックを検知・遮断する車両用WAF(Web Application Firewall)の「AutoCrypt AFW」、車両と外部インフラ間の安全な通信確立を保障する「AutoCrypt V2X」、車両用PKI認証システムの「AutoCrypt PKI」、車両用鍵管理システムの「AutoCrypt KMS」など、自動車セキュリティに求められるすべての機能を提供するトータルセキュリティソリューションである。ペンタセキュリティは、AutoCryptを基に、2016年から連続して韓国の次世代協調型高度道路交通システム(Cooperative Intelligent Transport Systems:C-ITS)ビジネスの認証システムの構築およびデモ運用における主管事業者として選定されるなど、国レベルの交通インフラビジネスに持続的に参画している。 両社は、電気自動車の充電および決済のみならず、エネルギー保存ソリューション、エネルギー効率化、太陽光ソリューションなど、グリッドウィズ社のスマートエネルギーに関するビジネス分野にまで拡大し、ペンタセキュリティのAutoCryptおよびIoTセキュリティソリューションを適用することにも合意した。これにより、エネルギー産業分野における顧客データをより安全に保護し、ビックデータ基盤の産業活性化に大きく寄与すると見込まれる。 ペンタセキュリティのIoTセキュリティR&Dセンター所長のシム・サンギュは、「電気自動車の充電は、バッテリーに電荷を蓄える単純なことではない。電力の供給のみならず、データの送受信も共に行われる。スマートフォンをパソコンに連結すると、充電と同時にデータの同期化が行われることと同じだ。」とし、「電気自動車の充電は、通信であり、安全な通信確立のためには、認証、暗号化、電子署名などのセキュリティ技術がシステム全般にわたって適用されなければならない。今回のグリッドウィズ社との相互協力により、便利で安全な電気自動車インフラの構築に貢献したい」と話した。  
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